二人の絆はそんなものだったのか

先日、道路脇の歩道を歩いていたときのこと。

考え事をしていた私は、前から手をつないで歩いてきたカップルのこ
となど一切気に留めず、二人のど真ん中を目がけて直進していた。

すれ違い様に「あっ!」と気付いたものの時すでに遅し。握り合って
いた二人の手が無残にも解け、頭(かぶり)を振るとなんと二人は離
れて歩いていた。

――悪いことをした。

そう思ったのも束の間、私は哀しい気持ちになった。二人の絆って、
そんなに薄っぺらいものだったのか、と。

――このきっかけを待っていたのは、彼の方? それとも彼女の方?

暫くして、向かい風が私の顔面を襲った。

このまま遠ざかる二人の背中を後押しするんだろうなぁ、なんてそん
な興ざめたことを考えた。

――愛は真心、恋は下心。

ネソがコソする、そんな男性でなければいいが、と願いながら、家路
へと急いだ。

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