グローバルコンピテンス養成講座(85)~なんで私が「キョウダイ」に~

こんにちは、国際人養成ブロガーのFrankです。

タイトルを見て、「ん? どこかで聞いたことが」と思ったあなた。
それは錯覚(false feeling)です。

私が今日伝えたいのは、進学塾の有名国公立対策ゼミの話でも、
個別指導の話でもありません。

このタイトルを説明するには、思い出すのもおぞましい、そんな話を
どうしてもしなければなりません。私の実体験です。怪談話が苦手な
方は、決して読まないでください。

 :

それは、大学1回生の夏のことでした。

カンカン照りの、うだるような暑い日が続く8月の中旬。
ひょんなことから、英語ディベートクラブの仲間のS君と
二人で夏旅行に出ることに。

勝手気ままな電車旅行。大阪を発ったあとは、北に向かうこと以外、
何も決めていませんでした。

福井に着いたあたりだったでしょうか、「今日は金沢で一泊しようか」
そう二人で決めて、途中下車することにしました。

街をぶらぶらしたあと、宿泊先を決めようと駅前の案内所に行きました。
「今晩、泊まるところありますか? 野郎二人なんですけど」。

受付にいた中年の女性スタッフが、早速、宿泊先をあたってくれました。
半時間近く待ったでしょうか、結果はどこもいっぱい。

「今日は野宿か」と半ば諦めたときでした、S君がこう切り出したのです。
「屋根のあるところだったら、どこでもいいですけど」。

その時でした、女性スタッフがグッと息を呑み込んだように見えました。
「あの~、1つありますが・・・」と躊躇い口調である宿泊先の電話番号
を探し始めたのです。

イケイケで旅立った私たち、「寝られればいい」。
そんな感覚で、早速、予約を入れてもらうことにしました。

案内所から歩くこと約15分。閑散とした町並みから更に外れた、人気
のない小さな路地裏に辿り着きました。「ここやな」目的の一軒家です。

薄汚れた引き戸を開け、家の中に響き渡るような大きな声で挨拶をしま
した。・・・「こんばんは!」「誰かおられますか?」。

その時でした・・・冷たい風が、家の中から玄関口にスーッと吹き
出したのです。

S君にかぶりを振ると、彼は落ち着かない目をしています。
家中に何度か声をかけたあと、やっと返事がありました。

「はあい」

しわがれた女性の声でした。・・・しばらくして70歳ぐらいの、
髪結いをした老婆が目の前に現れました。「いらっしゃい」。

体温が一気に、10度以上下がったように感じました。そして
部屋に案内され、素泊まりの私たちはお風呂に入ったあと、
そのまま布団を敷いて寝ることにしました。

旅の疲れからか、すぐに眠りに着きました。ところが、、、
真夜中の3時ごろだったでしょうか、何故か無性にトイレに
行きたくなり、目が覚めました。

S君はぐっすり眠っていました。枕元の電灯を点けても、
起きる気配がありません。

私たちの部屋は2階、トイレは1階です。薄明かりの電気がついた
木製の階段を一人、ゆっくりと下りていきました。

一歩、二歩、三歩・・・ミシミシと階段が反応します。早く用を済ませ
たいその一心で、1階の大部屋を通り抜け、赤く照った電球を目当てに、
何とかトイレに辿りつきました。

何度後ろを振り返ったことでしょう。蝶番がかかっているのを確かめ
ながら、用を足しました。

「(・・・早く、部屋に戻ろう・・・)」。トイレの横にある洗面台の
蛇口をひねり、冷たい水で手を洗いました。

居間を通ってトイレに来たのを思い出し、元来た居間を通り抜けようと
薄明かりの電気を頼りに、ゆっくりとすり足で居間に入りました。

つまずかないように、そう、ゆっくりと・・・。
と、その時でした――背後で物陰が動くのを感じたのです。

「(・・・だ、だ、だれか、いるのか?・・・)」。
暗くて、はっきりと見えません。

早く階段を上がりたい気持ちと好奇心が交錯し、
その場で足が止まりました。

私は一心に目を凝らしました。・・・人影?

すると、微かな光がピカッと私の目を射止めました。
「(・・・ひ、と?・・・)」。息ができなくなりました。

「こ、ん、ば、ん、は」・・・掠れた声・・・。
め、め、目の前に、長い髪を垂らした、あの老婆が座っているでは
ありませんか。

暗がりの中、私に背を向けたまま、鏡に向かって髪をといでいました。
「こ、こ、こん――」言葉が声になりません。

「ど、う、し、た、の?」老婆が尋ねます。
金縛りにでもあったように、私の体は硬直していました。

「そ、そこで、何を、してるん、ですか?」私は声にならない声を絞り
出しました。すると、老婆がゆっくりと振り返り、
「わ、た、し、も・・・」。

化け猫のように化粧をした老婆が、私にニコリと。
「あ、あ、あ――――――――――!」

老婆が続けました。「お、ん、な、で、す、よ、ウッフッフッフ」。
気持ちは階段に向かっていますが、足が動きません。

老婆が更に追い打ちを。
「な、ん、で、わ、た、し、が、きょ、う、だ、い、に、だろう?」

なんで私が“鏡台”に――――――!
私は諤諤した足を何とか引きずって、階段を這い蹲りながら上がりました。

翌朝、金沢から新潟へと向かう電車の中で、昨晩のことをS君に打ち明け
ました。するとS君は、老婆を代弁するかのように、こう答えたのです。

「僕たちが久しぶりの客やったんや。あんな薄気味悪いところに、宿泊
案内所も紹介でけへんしな。婆さん、嬉しくて、化粧したんちゃうか」
「そうか?」
「そうやて。人間は、一人では生きていかれへん。人の眼があるから、
腹も立つけど、やる気もでる。婆さん、嬉しかったんやて」

老婆を鏡台へと導いた私たち。それは偶然だったかもしれません。
でももし彼女が、あのまま宿泊客もなく余生を送っていたら、
二度と鏡台の前に座ることはなかったかもしれません。

We make a living by what we get, but we make a life by what we give.
我々は得ることで生計を立て、与えることで生きがいを作る。

かつてウィンストン・チャーチルが語った「与える生きがい」を、
今一度噛み締めているところです。

海外で商売をして金儲けすることだけが国際人ではありません。
ビジネスパートナーに喜んでもらう、引いては現地の人々みんなに
幸せを感じてもらう。そんな「与える」を大切にして「生きがい」
のある人生を歩んでいきたいと思っています。

What do you thrive on?(あなたにとっての生きがいは?)
と訊かれたら、私ならこう答えるでしょう。

家族の笑顔、友の笑顔、ビジネスパートナーの笑顔、だと。

今日もオンラインクイズに答えないと気が落ち着かない方はこちら
チャレンジなさってください。

本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では次回の講座を楽しみに b^^)

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