先生、ありがとう!

こんにちは、Frankです。

小学校の低学年のときだったと思います。
遠足で、奈良の若草山に行ったときのこと。

公園を散策したあと昼食の時間になり、みんな若草山の斜面でお弁当
を食べることになりました。

私もクラスメートと横並びに座り、母が作ってくれたお弁当をリュッ
クから取り出しました。「いただきま~す!」。

お弁当箱を包んだハンカチをほどきふたを開けたときでした。私の左
手から弁当箱が落ち、中に入っていたおにぎりが若草山の斜面を転げ
落ちました。

母が折角作ってくれたおにぎりを落としてしまい、とっても惨めな気
持ちになりました。

「吉田君、だいじょうぶ?」先生が私に駆け寄ってくれたのも束の間、
かすんだ瞳で先生の顔がはっきりと見えなくなりました。

「お母さんのおにぎり、先生と一緒に拾いましょ?」先生のその優し
い言葉に元気づけられ、二人でおにぎりを拾いました。

「(・・・お母ちゃん、ごめんね・・・)」
そんな気持ちを胸に、私は先生がおすそ分けしてくれたおにぎりをい
ただきました。

遠足が終わって自宅に帰るとき、先生が私の家まで来て母に状況を説
明してくれました。私の母への思いを、先生が行動で示してくれまし
た。

――ありがとう、先生・・・本当に、ありがとう。

あれから何十年も経った今も、先生のあの時の優しい言葉を覚えてい
ます。

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