こんにちは<Frank>です。
参考図書をひと通り読むだけでも一苦労です。式がいっぱい登場しま
すが、「これとこれが等式で結ばれるんだ」ぐらいの軽い感じで読み
進めています。
1.運動エネルギーと仕事の関係式
1)運動エネルギー(Kinetic Energy)
運動エネルギーは、物体が持つ運動に基づくエネルギーです。
質量 𝑚 の物体が速度 𝑣 で運動しているとき、その運動エネル
ギー 𝐾 は以下の式で表されます。
𝐾 = (1/2)・𝑚𝑣2
2)仕事(Work)
仕事は、力 𝐹 を物体に対してある距離 𝑑 だけ移動させたとき
に行われるエネルギーの移動を指します。力と移動方向が同じ
場合、仕事 𝑊 は以下の式で表されます。
𝑊 = F・𝑑
力が物体に仕事をすると、その結果として物体の運動エネルギー
が変化します。これを運動エネルギーと仕事の関係式で表すと、
次のようになります。
𝑊 = Δ𝐾
ここで、Δ𝐾 は運動エネルギーの変化量です。
2.エネルギー保存則
エネルギー保存則は、孤立系において全エネルギーの総量が時間とと
もに変わらないことを述べています。これは、エネルギーが一形態か
ら別の形態に変換されても、総エネルギー量が一定であることを意味
します。
エネルギー保存則は以下のように表されます。
初めの全エネルギー = 後の全エネルギー
具体的な形で言うと、力学的エネルギー(運動エネルギー 𝐾 と位置
エネルギー 𝑈)が保存される場合、次のようになります。
𝐾1 + 𝑈1 = 𝐾2 + 𝑈2
ここで、
・𝐾1 は初めの運動エネルギー
・𝑈1 は初めの位置エネルギー
・𝐾2 は後の運動エネルギー
・𝑈2 は後の位置エネルギー
例えば、自由落下する物体の場合、位置エネルギーが運動エネルギー
に変換され、全体のエネルギーが保存されます。
この原理は、多くの物理現象を理解するための基本であり、エネルギ
ーの変換や保存に関する様々な問題を解くために使用されます。
余談ですが、数年前私が英語を教えていたサッカーのJ1のトレーナ
ーの方がこんなことを仰っていました。
「(Frank)先生。教えているときは立っているだけで運動していな
いみたいですが、かなりエネルギーを使っています」と。
確かに重力を受けながら、レッスン中は喋り続けていたので、かなり
のエネルギーを消費していたかもしれません。何十年も病院のお世話
になっていないのは、ティーチングを通してのエネルギーの消費バラ
ンスがいいのかもしれません。
物理と化学を同時進行で学習している私。ますます興味が湧いてき
ました。
ではここで基礎的な問題です。模範解答は罫線の後に掲載していま
す。解答後、参照してください。
【問題】
滑らかな水平面上で、質量 𝑚1 = 2.0 kg の物体 A と、質量 𝑚2 = 3.0 kg
の物体 B が、それぞれ互いに逆方向に速さ 𝑣1 = 4.0 m/s と 𝑣2 = 3.0 m/s
で運動しています。物体 A と B は完全非弾性衝突をし、衝突後に一体
となって運動するとします。このとき、衝突後の合体した物体の速さ
𝑣 を求めなさい。また、衝突によって失われた運動エネルギーを求め
なさい。
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【模範解答】
1.衝突後の速さ 𝑣 v を求める
運動量保存則を考えます。外力が作用していないため、衝突前後で
系全体の運動量は保存されます。
1)衝突前の運動量
p初 = 𝑚1𝑣1 − 𝑚2𝑣2
ここで、物体 A の進行方向を正の向きとします。したがって、B
の速度は負の方向と考え、式にそのまま代入します。
2)各物体の運動量
𝑝𝐴 = 𝑚1 × 𝑣1 = 2.0 kg × 4.0 m/s = 8.0 kg⋅m/s
pB = m2 × (−v2) = 3.0kg × (−3.0)m/s = −9.0kg⋅m/s
3)合計の運動量
𝑝初 = 8.0 kg⋅m/s − 9.0 kg⋅m/s = −1.0 kg⋅m/s
4)衝突後の合体した物体の質量
𝑚合体 = 𝑚1 + 𝑚2 = 2.0 kg + 3.0 kg = 5.0 kg に対し、運動量保存則よ
り衝突後の速さ 𝑣 は次のようになります。
𝑚合体⋅𝑣 = 𝑝初
5.0 kg⋅𝑣 = −1.0 kg⋅m/s
𝑣 = −(1.0/5.0)m/s = −0.2 m/s
よって、衝突後の合体した物体の速さは
𝑣 = 0.2 m/s(B の進行方向に運動)です。
2.衝突によって失われた運動エネルギーを求める
運動エネルギーの変化量を求めます。衝突前後で失われた運動エネ
ルギーの量は、衝突前の運動エネルギーと衝突後の運動エネルギー
の差です。
1)衝突前の運動エネルギー 𝐾初
𝐾初 = (1/2)・𝑚1𝑣12 + (1/2)𝑚2𝑣22
= (1/2) × 2.0 kg × (4.0 m/s)2 + (1/2) × 3.0 kg × (3.0 m/s)2
= (1/2) × 2.0 × 16.0 + (1/2) × 3.0 × 9.0
= 16.0 + 13.5 = 29.5 J
2)衝突後の運動エネルギー 𝐾後
𝐾後 = (1/2)𝑚合体𝑣2
= (1/2) × 5.0 kg × (0.2 m/s)2
= (1/2) × 5.0 × 0.04 = 0.1 J
3)失われた運動エネルギー Δ𝐾
Δ𝐾 = 𝐾初 − 𝐾後
= 29.5 J − 0.1 J = 29.4 J
この問題では、まず運動量保存則を用いて衝突後の速さを求め、次
に運動エネルギーの変化から失われたエネルギーを計算しました。
完全非弾性衝突では、運動エネルギーの一部が熱や変形に変換され
るため、運動エネルギーが失われることを確認できました。
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今日もご一読いただき、ありがとうございました。
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