ちょっぴりミステリアスなアンソロジー掌編『白いバラ』~立ち読み~

こんにちは、Frankです。

拙作の掌編ちょっぴりミステリアスなアンソロジー『白いバラ』の梗
概と立ち読みをご紹介します。ご一読いただければ幸いです。

【梗概】
『ちょっぴりミステリアスなアンソロジー』の第三作目。家族と離れ
離れに暮らしていた主人公の私がクリスマス前に日本を発ち、中米で
暮らす妻子と二年ぶりに再会する。仕事と家族の二者択一を迫られる
私が選んだ道は――。総文字数約4947字の掌編小説。私に尋ねた子供
のけな気な問いかけに言葉を失います。《Frank☆World》をご堪能く
ださい。

【立ち読み】
 飛行機が大きく右に旋回し、窓側に座っていた私の眼下に滑走路が
見えた。
 間もなく着陸だ――。
 今から十三年前のクリスマスイブ。私は特別な思いで中米ホンジュ
ラス共和国の表玄関、サン・ペドロ・スラ空港に降り立った。
 サン・ペドロ・スラへは二度目の訪問だったが、パリッとしたスー
ツ姿の一度目とは違い、背中にはバックパック、両手にはクリスマス
プレゼントと日本の食材をいっぱい詰めた旅行鞄という出で立ちだっ
た。
 空港には里帰りしていた妻と、九才になる長女と六才の長男。それ
に妻の弟の、計四名が私を出迎えてくれた。
 家族とは二年ぶりの再会である。
「本当に来てくれたのね」
 無理してとった早目の冬期休暇。はるばる日本からやってきた私を
見て、妻は素直に喜んでくれた。
 空港から妻の実家のある農園までは、車で二時間ばかりの道のりだ。
 ワイワイ、ガヤガヤと騒いでいた家族も、一時間ほどして口数が少
なくなった。
 私は窓外の田園風景に目を遣りながら、妻と出逢った海外初出張の
頃のことを思い出していた。

  *

 大学卒業後、大阪の本町にある中堅の総合商社に就職した私は、入
社と同時に輸出部中南米課に配属された。スペイン語の商業通信文に
もやっと慣れてきた入社三年目の十月、海外初出張を命ぜられた。出
張ルートは、北米のカナダを皮切りにメキシコ、カリブ海のトリニダ
ード・トバゴ、キュラソー島。南米の英国領ガイアナ、エクアドル、
コロンビア。それから中米のコスタリカ、ホンジュラスを経由して再
度メキシコに戻るというものだった。
 二ヶ月余り北米・南米を旅し、中米コスタリカの首都サン・ホセか
らホンジュラスの首都テグシガルパへ向かう十一月の中旬。移動日に
当たったその日は朝から三十九度の高熱を出し、ベッドから起き上が
るのもままならぬ状況だった。只、大分前からバイヤーとのアポを取
り付けていた関係上、今更キャンセルするわけにもいかず、無理を押
して早朝便でホンジュラスへ飛んだ。

(つづく)

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