『妻の女友達』(小池真理子著)を読んで★

こんにちは、Frankです。

短編集の巻末にある、薀蓄のある書評を引用しながら、感想を述べさ
せていただきます。ネタバレ注意!です。

 ◆

冒頭、<広中肇は、市役所の戸籍係をしている>で始まるフレーズに、
読者は主人公のキャラクターに想像を膨らませるでしょう。

大体想像はつくのですが、“予想通り退屈な人生”を送っている男なの
です。

が、或る日、妻の志津子の高校時代のクラスメートである多田美雪が、
突然、広中家に訪ねてくる。そこから肇の退屈ではあるが、幸せな日
々が崩れていく。

耐え切れなくなった肇は、美雪を殺害。これで肇は元の平凡な生活に
戻れると思ったのだが、肇との退屈な生活に辟易していた志津子は、
料理学校の先生と恋仲になっていた。

「別れてくださらなかったら・・・私、・・・警察に喋りますから」
志津子の意を決した言葉で、エピローグを迎える。

 ◆

トリックなんて特別にいらない。人間の心理の動きのほうが、作り物
のトリックよりよっぽどこわいし、意外性がある——これを証明した
作品です。

が、ある意味、女性視点からの「理想的な退屈男」であり、戸籍係の
意外性を期待した私には、「えっ!?」と唸るミステリー性はなかった。

胡桃沢耕史氏の読感「ヤラレターと降参する、鮮やかな切れ味」の評
には異論がありますが、心理描写は中々のもので★とします。

妻の女友達 (集英社文庫)

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