こんにちは、Frankです。
拙作の超掌編ちょっぴりミステリアスなアンソロジー『ミラー』の梗
概と立ち読みをご紹介します。ご一読いただければ幸いです。
【梗概】
物語は女を迎えることから始まる。登場人物はエンディングを除けば
わずか二人。総文字数約2409字の超、超掌編だが、個々のキャラクタ
ーへの想像が、短編小説かと思わせるほどの一幕を演出している。寂
寥感が漂う『ちょっぴりミステリアスなアンソロジー』の第五作。ど
うぞご堪能ください。
【立ち読み】
その日も、いつものように女を乗せました。
かなり寒かった気がします。
助手席の前のダッシュボードに小さなアルバムを入れていたこと以
外、特に変わったことはありませんでした――。
*
〝バタン!〟と後部座席のドアが、勢いよく締まりました。
ルームムミラーには厚化粧の女が。
「ヨイショ、っと」
化粧水の臭いがプーンと鼻につき、ドアの窓を開けたくなりました。
「ご主人、ごめんなさいね。お言葉に甘えちゃって」
「いいえ、大丈夫ですよ」
女の右肩には、いつもの不似合いなブランドバッグが。外見の美の
意味を完全に錯覚している、オバタリアンです。行き先は、女房が通
っていたテニスコート。昼夜の気温差が大きいせいでしょうか、コー
トの周りでも美しい紅葉が見られる季節を迎えていました。
「もう一年になるかしら」
女が突然切り出しました。
「えっ?」
「お気の毒だったわ」
「あぁ、もうそんなになりますか」
ルームミラー越しに見える、女の凝乎とした眼差しに、もうそろそ
ろ慣れてきてもよさそうだったのですが、その日も目を逸らす自分が
いました。
女房とテニス仲間だったこの女を、生前の時と同様、その日も送っ
ていったのです。
(つづく)
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