こんにちは<Frank>です。
『マイ・ベスト・ミステリーⅣ|日本推理作家協会編』(文藝春秋)に収められた『ヴェニスの計算狂』(木々高太郎著)の読後感想です。ネタバレ注意です。
最初読み始めた時は、海外が舞台ということもあり情景描写が多く、情報過多と言う印象を受けました。海外を飛び回っていた私としては、ヴェニスという言葉ひとつでイメージが湧いてしまうので、そう感じたのかもしれません。
登場人物として語られる<東洋人><支那人><日本人>という言葉は、時代を感じさせられる一方、<日本人>である私はどのように感情移入をすべきか正直戸惑いました。一方、エピローグで計算狂の東洋人とロシアの有名な数学者の娘とを繫げたあたりは、理系的な小説家によるゴリ押し風の物語に映りました。
犯人の追及に当たっては、ホテルのボーイからの目線ということで客観的な視点を重視したようですが、読者としては当の東洋人やジプシーの心を探る楽しさがなく、表面的な事象の語りに終始した感が否めません。
私が作者だったらジプシー女が語る視点で話を進め、最後にある意味助けてくれた<東洋人>を同種族として遇する、という結論でも面白かったかなと。
一方、読者としては、最近の小説では見かけることのない「耳朶をあやす」「凝然として」「慫慂に」「莞爾として」という表現を物語の中でどのように咀嚼するのかは興味深いところでした。
最後に、「日本人は、この殺人事件が、単なる物盗りの所為でないことを信じた」というあたりで、背後に国家や人種問題、はたまた他の理由があるのか臭わせて終わっています。作者が言う<復讐!>の真意とは――。
日本人以外を小説に登場させた場合の執筆の注意点を改めて知らされた作品でした。
興味のある方はご一読ください。拙作の長編社会派ミステリー小説『謎のルージュ』も併せてお読みいただけると嬉しいです。
*『マイ・ベスト・ミステリーⅣ|日本推理作家協会編』(文藝春秋)
![]() |
新品価格 |
*『謎のルージュ』(Frank Yoshida著)
![]() |
新品価格 |
※拙作の立ち読み及びペーパー版のご注文はこちらでご確認ください。
※この記事の英語版は、私の英語ブログAMISTADでチェック!
只今、人気ブログランキングに参加しています。
[実践文学の達人]今日のランキングは――









