こんにちは、Frankです。
短編集の巻末にある、薀蓄のある書評を引用しながら、感想を述べさ
せていただきます。
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熟成した佐々木譲氏、横山秀夫氏とは違った、私にとってはナイーブ
な作品のように映りました。
失礼な言い方ですが『夜を急ぐ者よ』や『罪つくり』にはない、言葉
の便秘がところどころに見受けられます。
「な、なんだよ」
「お兄ちゃん、あの人、キリスト」
「あぁ、なんとなく察してた。特徴あるし。ひげとか髪型が」
「キャラたってるよね」
「うん。大事なことだよな」
「神さまってとてもこわいと思わない、お兄ちゃん?」
主人公のお兄ちゃんと、国道をはさんで向かい側の家に住んでいるデ
ブ女になった幼馴染の少女、紗沙羅(しゃさら)との会話です。
淡々としたこうした会話が、中学生の紗沙羅とは思えない形で時折、
登場します。紗沙羅は本当に中学生?
私の想像基準値には当て嵌まらない物言いがどうもなじまなかったの
ですが、クライマックスを迎え、紗沙羅の大食漢の理由が解き明かさ
れます。
「なにが憎い。誰が」
「・・・おとうさん」
紗沙羅はそれ以上は言わなかった。
<想像で作り上げた感>が見え隠れするプロットでした。
・・・こういう作品が好きな方もいるんでしょうね。
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