こんにちは<Frank>です。
短編集の巻末にある、薀蓄のある書評を引用しながら、感想を述べ
させていただきます。
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《見上げた空が眩しかった。けれど、十一月の低い日差しは目に痛
いというほどでもなく、俺はごろりと横になったまま、窓ガラスの
向こうにある晴れた空を見上げていた。・・・》
こんな冒頭から始まるこの小説は、1ページ目の後半に、「何をし
てるんです?」俺の目の前にひょっこりと弥生さんが顔を出した。
「空を見ていました」と俺は応じた。
実はこれ、「俺」は女房の真澄の連れ子の弥生と会話をしているの
です。いつまで丁寧語を続けるつもりだと真澄は不満そうな顔をす
るが、「俺」にも弥生にもこの喋り方の方がしっくりくる、と。
そしてドラマは、日曜日の昼頃、真澄が留守にしているこの家に、
弥生と同じ年頃の男の子とその父親と思しき男が訪ねてくるところ
から始まります。
その男は、弥生が男の子を拳骨で殴ったから謝って欲しいという。
その場で弥生は謝ったが、その父子が帰った後、「俺」は弥生から
殴った真意を聞き、驚きと同時に憤りを覚える。
この「俺」と弥生の会話が絶妙で、暴力を暴力らしからぬ表現で伝
えているところが、アラフォー作家らしい書き方。私なら、ついつ
い血なまぐさい表現をしてしまう。
その後、泣きべそをかいた別の男の子が訪ねてくるが、その理由を
訊ねるうちに、真澄の留守とその男の父親の失踪に接点があること
を突き止め「俺」と弥生は一縷の不安を抱く。そして二人は遊園地
へ――。
物語を通じて醸し出される<ほんわかムード>と、「俺」と弥生と
の間隔が心地よい。小説から<大きな山あり谷あり>の人生を読み
たい私からすれば、この小説は普通の物語ですが、普通を小説らし
く書き上げる筆力には感心しました。
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