キャリアアップ講座(46)~日本文化を語る通訳案内士の英語~

こんにちは、Frankです。

今日は、「日本人の精神」(Japanese Spirit)についてお話しましょう。

「日本人の精神」というと、「幽玄」や「無常」、「間」(ま)、「義理」、
「人情」、「わび・さび」などが代表的です。

今回は中でも一番説明が難しいと言われている「わび・さび」について
取り上げます。通訳案内士(ガイド)の二次面接試験で訊かれることが
あるので、この機会に概略でも理解しておいてください。出典は、
『(第3版)日本文化を英語で紹介する辞典』ナツメ社です。

簡単に言うと――

「わび」は:
静かに澄んで落ち着いた様子を表すもので、
主に茶道を大成した千利休が追求した境地。

「さび」は:
枯れて渋みがあることを意味し、芭蕉の俳句
の理想的境地。

英語で言うと――

“Wabi” expresses a way of being quietly clear and calm, a state mainly
pursued by Sen No Rikyu who perfected the art of the tea ceremony.

“Sabi” means having well-seasoned, refined simplicity, an ideal state
in Basho’s haiku (poems in seventeen syllables).

「わび」も「さび」も、ある種の寂寥感が根底にあり、簡略をよしとし、
華美を嫌うという点が共通しています。

二次試験のプレゼンテーションで出題されれば、もう少し詳しく説明
しないといけないですが、Q&Aで訊かれた程度なら、あまりくどく
説明しても意味がないので、このあたりで留めておくべきです。

私は大学生の時、バイトで通訳ガイドの仕事を何回かしたことがあります。
朝、京都の某有名ホテルに行って20名ほどの旅行者をピックアップし、
バスで京都を案内するというもの。勿論、全て英語でガイドします。

そこで学んだことは、「余計なことをいっぱい喋らない」ということです。

兎角、通訳案内士国家試験に合格した人にありがちなのが、半ば自己満足
で豊富な知識を披露しすぎるがあまり旅行者のハートが掴めず、ツアーの
満足度を落とすことです。

旅行者は百科事典のような説明を聞くために、ツアー代金を払っている
のではありません。彼らはパンフレットやガイドブックに書かれていない
話を聞きたいのです。

旅行者を無視して喋らない!

「“さび”は、そうですね、古びた様子に美を見出す態度とでもいいますか、
骨董品の趣味なんかが似ていますね。古くなったものに渋みがあるというか。
・・・おっと、忘れていました。骨董品よりも、もっと良い例がありました。
私の目の前にいる皆さん。そう、皆さんのように“じっちゃん”、“ばあちゃん”
になると、グッと渋みが増してくる。これこそ“さび”の境地なんです(爆)」
なんて説明すれば、旅行者からドーッと笑いがとれますよ。

「日本人の精神」を語るにも、四角四面の説明ではなく、ターゲット・オー
ディアンス(標的視聴者←日本語にするとなんと硬いんでしょう)を考慮
して話すことが肝心です。

何度も言います。「臨機応変」こそが、プロの証!

海外の取引先や旅行者に日本の文化を説明する機会の多い人は、
冒頭で紹介した書籍を是非、参考になさってください。

▼ 日本文化を英語で紹介する事典

日本文化を英語で紹介する事典


今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では次回の講座もどうぞお楽しみに。

Frank Yoshida

P.S

こんな楽しいお店をみつけました。
一日飽きないですよ。


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